消費税改正に伴う経過措置
消費税率が現行の5%から、平成26年4月1日(「施行日」といいます。)以後は8%に、平成27年10月1日(「一部施行日」といいます。)以後は10%に引き上げられることになりました。
この税率の引き上げにより、種々の取引に適用される税率は、原則として平成26年4月1日及び平成27年10月1日において切り替わりますが、一部の特定取引については経過措置が設けられており、その場合の適用税率については注意が必要となります。
その経過措置の中で身近な論点を下記にまとめております。
旅客運賃、各種チケット等
ここでは以下の料金を論点とします。
- 汽車、電車、タクシー、船舶、航空機に係る旅客運賃
- 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せ物を不特定多数の者に見せ、又は聴かせる場所への入場料金
- 競馬場、競輪場、小型自動車競走場、モーターボート競走場への入場料金
- 美術館、遊園地、動物園、博覧会その他不特定かつ多数の者が入場する施設又は場所でこれらに類するものへの入場料金
これらのうち(一部)施行日前に領収したものについては、(一部)施行日以後にサービスの提供が行われる場合であっても旧税率が適用されます。
例)前売りで買った電車のチケット
購入日:26/3/15
乗車日:26/4/2
このケースでは5%の税率が適用となります。
電気、ガス等の供給等
ここでは以下の料金を論点とします。
- 電気の供給
- ガスの供給
- 水道水、工業用水の供給、下水道を使用させる行為
- 電気通信役務の提供
- 熱供給、温泉の供給
これらが(一部)施行日以前から継続して供給等されており、(一部)施行日からその月の月末までの間に料金が確定する場合は、(一部)施行日以後の部分も含めて旧税率が適用されます。
例1)計算期間が1ヶ月毎の料金(電気、ガス、電話、インターネット利用料など)
計算期間 : 26/3/16~26/4/15
請求金額確定日: 26/4/20
このケースの請求では、4/1~4/15分も含めた全ての金額に対して5%の税率が適用されます。
例2)計算期間が2ヶ月毎の場合(水道など)
計算期間 : 26/3/16~26/5/15
請求金額確定日: 26/5/20
このケースの請求では、一定の算式により請求金額を按分し、それぞれに旧税率5%と新税率8%が適用されます。
工事請負契約
請負工事については、契約から引渡しまでに長期間かかる場合が多いことから、一定の期間がかかる工事請負契約については経過措置が設けられることとなりました。
(ポイント)
- 新税率施行日の半年前を「指定日」とする。
・8% 税率施行の指定日 → 平成25年10月1日
・10%税率施行の指定日 → 平成27年4月1日 - 「指定日」の前日までに締結した工事請負契約であれば、引渡しが新税率施行日以降となっても旧税率が適用される。
【具体例】
(注意点)
- 契約金などの前受金
引渡し時に新税率が適用される場合、前受金を含めた契約金全体に新税率が適用されます。 - 請負代金の変更(追加工事・仕様変更など)
指定日以降の増額は、増額分に新税率が適用されます。
減額については、税率変更はありません。 - 書面での通知
経過措置の適用を受ける工事を行った事業者は、「経過措置が適用された工事である旨」を相手方に書面で通知することとされています。 - 適用要件
経過措置の適用を受けるには、下記の要件を全て満たす必要があります。- 契約が指定日の前日までに締結されたものであること。
- 仕事の完成に長期間を要するものであること。
- 仕事の内容につき相手方の注文が付されたものであること。
- 仕事の目的物の引渡しが一括して行われるものであること。
※ 経過措置の対象は、あくまで「工事請負契約」です。売買契約(建売・マンションなど)は原則対象外となります。
上記以外にも消費税率の変更に伴い、各種の経過措置が設けられています。