年末調整の注意点(漏れなく税金の還付を受けるために)
毎年11月頃になると、「年末調整をしますので、~までに提出をお願いします」と言われ、紙を2枚渡されることがあるかと思います。
指示通りに書いて出しているけど、それはいったい何なのかよく分からない。そういう方も多いのではないでしょうか。
ここでは、年末調整の意味や、漏れなく税金の還付を受けるために注意することをまとめています。
1、年末調整とは何か?
一言でまとめると「給与所得者の所得税の調整」です。
毎月の給与明細を見ると、「所得税」が引かれているはずです。しかし、この所得税はあくまでも概算なのです。
生命保険・地震保険に加入していたり、国民年金を支払っていたり、住宅用ローンを支払っていたりすると、所得を控除することができますので、一年間に収める税金は概算で天引きされていた金額より低くなります。
各種控除を含めて一年間の正しい所得・税額を計算し、もらい過ぎた税金を返すのが年末調整だとご認識ください(ごく稀に、税金を追加で徴収することもあります。概算での控除額に誤りがあった場合など)。
2、控除の種類
漏れなく所得税の還付を受けるためには、提出すべき書類を揃え、適用される控除の情報をしっかりと書類に記載することが必要になります。
年末調整で申請が必要なものは以下になります。
A)扶養家族の情報
配偶者の所得が一定以下の場合(幣所HP参考)や、就職前のお子様がいらっしゃる場合、両親を養っている場合などが主に該当します。
また、別居していても「生計を一にしている」などの要件を満たせば、扶養家族として申請することが可能です。
★生計を一にするとは?
必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。(国税庁資料参考)
もし、本人かご家族が、「障害」「寡婦(寡夫)」「勤労学生」に該当する場合は、追加で所得控除を受けることができますので、チェック欄への記載を忘れないようにしてください。
B)生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料・地震保険料を支払っている場合は、支払額に応じて控除を受けることができます。
控除に該当する保険料の支払いをしている方には、10月頃に保険会社から控除証明書が送られてきます。そこに書かれている金額を、用紙の計算式に当てはめて記載してください。
この控除には控除証明書の添付が必須となりますので、保険会社から届いたら無くさないようにしましょう。
C)社会保険料控除
その年に支払った各種社会保険料は所得から控除されます。会社で加入している場合は、会社で計算してくれますので、何かを申請する必要はありません。
しかし、国民健康保険や国民年金、国民年金基金などを自分で支払った場合は、その金額を申請し控除を受けることになります。
国民健康保険の保険料は、証明書は不要ですので、一年間に支払った金額を用紙に記載するだけで問題ありません。
一方で、国民年金と国民年金基金は、金額の記載に加え、控除証明書もしくは領収書の添付が必須となりますのでお気を付けください。
D)小規模企業共済等掛金控除
以下の掛け金については、その年に支払った額の全額を所得から控除することができます。
- 小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金(一部、生命保険料控除の対象になるものもあります)
- 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金
- 地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金
用紙に支払った金額を記載し、支払った掛け金の証明書を添付してください。
E)住宅借入金等特別控除
一般的には住宅ローン控除と呼ばれているものです。住宅ローン控除を受けるためには、初年度は確定申告が必要となりますが、2年目以降は年末調整での申請が可能となっています。
初年度に確定申告を行っていると、残りの適用年度分の控除申告書が税務署から送られてきているはずです。また、銀行から10月頃に「住宅取得資金の借入金年末残高証明書」が毎年届きます。
控除申告書に内容を記載し、上記残高証明書と併せて、年末調整の書類に添付して提出してください。
3、その他の注意点
年の中途で入社した方は、前職の源泉徴収票の添付が必須となります。前職の源泉徴収票が無いと年末調整を受けることが出来ません。
4、最後に
年末調整で所得控除を行うことで、所得税が還付されるだけでなく、住民税の税額にも影響します。
仮に、生命保険料控除を40,000円受けるとすると、所得税と住民税を合わせて6,800円が減額されます(所得税が10%の場合。所得税は年末調整時に還付、住民税は翌年6月からの算定で減額)。
また、国民健康保険加入者の場合は、その保険料にも影響があります。
年末調整を漏れなく行えるかで、支払う税金の額が大きく変わってくることがあるのです。しっかり書類を確認し、適用出来る控除を受けるようにしましょう。